2026-08-31
相続した実家が空き家になりつつあるが、売却まではまだ踏み切れない。
その一方で、管理の負担や将来のリスクが気になっている人は少なくありません。
とくに50~60代で親の介護や自分の定年を意識し始めると、売るタイミングや運用方法、維持管理の手間をどのように整理すべきか迷いやすくなります。
そこで本記事では、西宮市の空き家に関する管理ルールや所有者の責任、売却対策や運用の考え方までを、実家の維持管理に悩む方に向けてわかりやすく解説します。
読み進めることで、今の自分は何から始めるべきかが具体的に見えてくるはずです。

まず押さえておきたいのは、「空家等対策の推進に関する特別措置法」(いわゆる空家法)と、その改正内容です。
国の空家法では、概ね年間を通じて人が居住しておらず、適切な管理が行われていない建築物などを「空家等」と定義し、自治体による対策の枠組みが定められています。
令和5年12月13日の改正施行により、特定空家等になる前段階の「管理不全空家等」への関与が強化され、所有者の適正管理責務もより明確になりました。
西宮市でも、この法律に基づき第二次西宮市空家等対策計画などを定め、所有者自らが日常的な維持管理を行うことを前提に、相談窓口や支援策を整えています。
西宮市は、国の空家法に沿って空き家対策を進めながら、市独自の条例や要綱も整えています。
市の「空き家に関する総合案内」では、空き家の適正管理や危険な空き家、樹木や雑草の問題などについて、建築安全課が相談窓口として案内されており、所有者に対して適切な管理を促す体制が取られています。
また、第二次西宮市空家等対策計画では、空家等の発生抑制や適正管理、利活用を総合的に進める方針が示されており、所有者が放置せず、早い段階から管理や活用、売却を検討することが求められています。
親の家を相続した方も、居住していないからこそ、定期的な見回りや清掃、修繕などの管理を行う責任があると理解しておくことが大切です。
適切な管理がされていない空き家が、周囲の生活環境を損ねる状態になると、国の空家法に基づき「特定空家等」に認定される場合があります。
改正空家法では、その前段階として老朽化や雑草繁茂など管理不全の状態にある「管理不全空家等」についても、市が指導や勧告を行えるようになり、西宮市でも対策計画の中で、必要に応じて認定や措置、緊急安全措置を実施することが位置付けられています。
一般的には、所有者への助言・指導から始まり、改善が見られない場合は勧告や命令、最終的には行政代執行による除却や安全措置という流れで段階的に強い措置へと進みます。
こうした手続きは、近隣住民の安全確保と良好な住環境の維持のためであり、「遠方なのでそのままにしている」という理由では免れることができない点に注意が必要です。
| 区分 | 主な状態 | 所有者の主な負担 |
|---|---|---|
| 適正管理空家 | 定期清掃と修繕実施 | 通常の固定資産税負担 |
| 管理不全空家等 | 雑草繁茂や外壁劣化 | 指導勧告への対応義務 |
| 特定空家等 | 倒壊危険や衛生悪化 | 命令や代執行費用負担 |
特定空家等に認定され勧告を受けると、国の制度上、住宅用地特例による固定資産税の軽減措置が外れ、税額が増える可能性があります。
さらに、倒壊のおそれや屋根材の飛散など、緊急の危険があると判断された場合には、西宮市が「緊急安全措置条例」に基づき、所有者に代わって応急的な安全措置や除去を行い、その費用を所有者に請求することも想定されています。
第二次西宮市空家等対策計画でも、必要に応じて認定や措置、緊急安全措置を実施することが明記されており、放置が長引くほど経済的・法的な負担が重くなると考えられます。
売却まで時間がかかる場合でも、「いまは使っていないから」と放置せず、日頃から管理状況を把握しておくことが、余計な出費やトラブルを避ける近道になります。
空き家を適切に管理するためには、庭木や雑草、ゴミの有無、建物内の通風や換気など、基本的な点を丁寧に確認し続けることが重要です。
西宮市では、空き家の樹木や雑草が近隣に影響を与える場合、所有者に連絡し改善を促す仕組みがあります。
そのため、売却予定がまだ先であっても、敷地や建物を放置せず、定期的な点検を行うことで「管理不全」と見なされない状態を保つことが大切です。
まずは、自分で行える範囲の確認項目を整理し、無理なく続けられる管理の形を考えていきましょう。
遠方に住む50~60代の方の場合、こまめに実家へ通うことが難しいため、管理の頻度を現実的に設定することがポイントになります。
例えば、草木が伸びやすい時期は年に数回の草刈りや剪定を行い、それ以外の季節は通風や雨漏りの有無の確認を中心にするなど、季節に応じて重点を変えると負担を抑えられます。
西宮市は空き家の適正管理について情報提供を行っており、所有者が計画的に管理できるよう支援しています。
ご自身だけでの管理が難しい場合には、家族で役割を分担するなど、長く続けられる仕組みづくりを意識することが大切です。
また、実家の空き家を適切に管理するうえで、近隣との良好な関係づくりも欠かせません。
長期間留守にする際には、近所の方に連絡先を伝えておき、異変に気付いたときに知らせてもらえるようお願いしておくと安心です。
樹木や雑草、建物の老朽化などで近隣から苦情が出た場合には、放置せず早めに対処し、必要に応じて市の相談窓口に問い合わせることで、深刻なトラブルを避けやすくなります。
管理や近隣対応に不安があるときは、空き家全般の相談を受け付けている市の窓口に早めに相談することを検討してください。
| 項目 | 具体的な確認内容 | 管理の目安頻度 |
|---|---|---|
| 敷地・庭の管理 | 庭木の剪定・雑草除去・ゴミ撤去 | 年2~3回を基本 |
| 建物内部の確認 | 通風・雨漏り・カビ・設備点検 | 季節ごと年4回程度 |
| 近隣・行政との連絡 | 連絡先周知・苦情対応・相談窓口活用 | 必要時に随時 |
空き家を長く放置すると老朽化が進み、売却や賃貸が難しくなる傾向があるため、早い段階で方針を決めておくことが重要です。
西宮市では、空き家利活用や相談窓口を通じて、売買・賃貸・解体などの選択肢を検討するための情報提供が行われています。
また、国の改正空家法により、管理と利活用を一体的に進める動きが強まっており、所有者の判断が以前よりも求められるようになっています。
まずは、ご自身の家族構成や将来の住み替え計画に合わせて、どの方向性が合うか整理しておくことが大切です。
空き家の利活用には、売却、賃貸、一時的な地域利用、建物の解体と更地管理といった基本的なパターンがあります。
西宮市では、空き家利活用の一環として、空き家や空き室の情報を登録し、地域活動などへの利用希望者とマッチングする仕組みが整えられています。
こうした公的な仕組みを活用すると、売却までのつなぎとして一時利用を図ることも検討しやすくなります。
一方で、老朽化が進んだ建物については、解体して土地として売却する方が安全性や資産価値の面で適切な場合もあります。
空き家にしないためには、早めに暫定的な利用方法を決めておくことが有効です。
例えば、将来の売却を前提にしつつ、それまでの期間は定期的な掃除や通風、簡易な修繕を行い、建物の状態を維持しておくことで、売却時の印象や成約条件に良い影響が期待できます。
また、地域活動などへの一時的な提供を検討する場合でも、所有者としての管理責任は残るため、利用条件や期間を整理し、無理のない範囲で続けられる形を選ぶことが大切です。
このように、「今は運用」「将来は売却」と時間軸を分けて考えると、判断しやすくなります。
運用と売却を比べる際には、固定資産税や維持管理費、将来の解体費用を整理し、家計への影響を把握することが欠かせません。
国の制度では、相続した空き家を一定の条件のもとで早期に売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例が設けられており、期限も定められています。
一方で、運用を続ける場合は、毎年の税負担と管理コストに加え、老朽化が進んだ後の解体費も見込んでおく必要があります。
これらを総合的に比べることで、ご自身の年齢や家族の希望に合った「今後の10年の持ち方」を具体的に描きやすくなります。
| 選択肢 | 主なメリット | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 早期売却 | 維持費軽減・特例活用 | 売却価格の相場確認 |
| 賃貸・一時利用 | 収入確保・空き家防止 | 管理責任と契約条件 |
| 解体・更地管理 | 安全性向上・活用柔軟 | 解体費用と税負担 |
実家の売却タイミングを考える際には、親の介護が本格化する前後や、相続発生の見込み、自身の定年退職の時期を重ねて検討することが大切です。
特に、介護で実家と自宅を行き来する負担が増えると、空き家の管理が難しくなりやすい傾向があります。
また、相続発生後は、相続人同士の意見調整や手続きに時間を要するため、元気なうちから方向性を共有しておくと安心です。
自分の健康状態や今後の生活設計も踏まえ、数年単位で売却の目安時期をイメージしておくと、急な判断に追われにくくなります。
売却前には、登記簿で所有者名義と住所の最新状況を確認し、未登記部分や古い名義が残っていないかを早めに点検しておくことが重要です。
令和6年4月からは、不動産の相続登記が義務化されており、相続発生後に長く放置すると過料の対象となる場合があります。
また、権利関係が複雑なままでは買主側の住宅ローン審査や契約手続きに支障が出るおそれがあります。
さらに、西宮市の空家等対策計画や空き家に関する総合案内では、適正管理や相談窓口の情報が整理されているため、売却か運用かを検討する際の参考になります。
将来のトラブルを防ぐには、エンディングノートなどを活用し、実家の扱いについて家族の希望を書面で残しておくことが有効です。
特に、売却を前提とするのか、一定期間は賃貸や一時利用を検討するのかといった方針を、きょうだい間で早めに話し合っておくと、相続発生後の対立を減らしやすくなります。
また、西宮市の空家等対策計画では、所有者への情報提供や相談体制の整備が位置付けられており、行政の相談窓口を通じて専門家紹介を受けることも可能です。
こうした公的な情報と家族間の合意形成を組み合わせることで、売却のタイミングを逃さず、安心して手続きを進めやすくなります。
| 年代別の主な転機 | 売却検討のきっかけ | 事前準備の重点項目 |
|---|---|---|
| 親の介護開始前後 | 通院付き添い増加 | 管理負担と費用の整理 |
| 相続発生の見込み時 | 遺産分割の話し合い | 登記と権利関係の確認 |
| 自分の定年前後 | 老後資金の見直し | 売却か運用かの方針決定 |
空き家の管理や売却は、早めに動くほど負担やリスクを小さくできます。
特に50~60代のうちに、実家の維持管理と将来の運用方針を家族で話し合っておくことが大切です。
当社では、空き家の管理ポイントの整理から、運用・売却タイミングのご相談まで、状況に合わせて丁寧にサポートします。
「うちの場合はどうしたらいいか」を一緒に考えますので、まずはお気軽にお問い合わせください。